×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。


山寺・後藤美術館所蔵 ヨーロッパ絵画名作展
 
 
 

2006年6月16日愛媛県美術館で開催されている
山寺・後藤美術館所蔵 ヨーロッパ絵画名作展〜宮廷絵画からバルビゾン派へ〜を見てきました。

後藤美術館は芭蕉の「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」の句で知られる
山形市山寺に平成6年開館した美術館です。
バルビゾン派を中心としたヨーロッパ絵画のコレクションと
ガレ、ドーム等のガラス工芸のコレクションを主に展示しています。

今回の展覧会は18世紀から19世紀中期のフランス絵画を中心に
フランス以外の17〜19世紀絵画で構成されていました。

宮廷絵画からアカデミスムへ
ジャン=マルク・ナティエ「落ち着いた青色の服」
ルイ15世の宮廷で活躍した画家の描くヴィーナスとキューピッドです。
モデルは未詳ですが、人物を神話の登場人物に見立てて描いた
「神話的肖像画」として描かれたものと思われます。
ナティエは「神話的肖像画」で大きな人気を博しました。

フランソワ・ブーシェ「聖ヨセフの夢」
キリスト降誕後、天使よりエジプトへ逃れるよう夢でお告げを受ける
聖ヨセフと聖母子の姿が描かれています。
緊迫した場面のはずなのですが、ロココを代表する宮廷画家ブーシェは
あくまでも柔和で優美な人物像を描いています。

ジャン=バティスト・グルーズ「小さな数学者」
勉学に励む美少年の姿を描いた風俗画です。
この少年は「勤勉・克己心」の象徴として描かれています。
「勤勉・克己心」はブルジョワの世界において美徳とされたもので
こうしたグルーズの風俗画はブルジョワの間で高く評価されました。

ジャン=バティスト・ユエ「羊飼い姿のヴィーナス」
横長の画面に優美なヴィーナスが装飾的に描かれた作品です。
羊や牧羊犬とともにヴィーナスの持物である薔薇や白い鳩が描かれています。
白い鳩は愛と平和を意味し、ヴィーナスの象徴です。

ジャン=ジャック・エンネル「荒地のマグダラのマリア」
荒地の洞窟で目を閉じて瞑想するマグダラのマリアの姿が描かれています。
しかしその姿は祈っているというよりも眠っているように見え
裸体で描かれたその姿は官能的とさえいえます。
19世紀アカデミスム絵画では神話や聖書の物語を借りて
優美な裸婦を描くということが盛んに行われました。
この作品でも裸婦のそばに添えられた香油壷によって
彼女が「マグダラのマリア」であると示しています。

このほかジェリコー、ブーグロー、カバネル、ファンタン=ラトゥール等の作品が展示されていました。

バルビゾン派とその周辺
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー「サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺」
木立から垣間見える空やゆったりとした水辺などを
銀灰色の大気の中に描くという典型的なコローの風景画です。
コローは人物画にも巧みであった画家らしく
人物も単なる点景ではなく、作品の中の重要な要素となっているようです。

シャルル=エミール・ジャック「月夜の羊飼い(帰路)」
ミレーの友人であった画家で、彼の影響を大きく受けています。
ほとんどモノクロームに近い画面ですが
月光によって浮かび上がる羊の群れと羊飼いの姿が幻想的です。

アントワーヌ・シャントルイユ「黄昏」
空の色、黄昏の光に照らされた木々や川面の色の美しさが印象的です。

ジュール・デュプレ「月明かりの海」
青緑と灰色で構成された幻想的な光景が心に残ります。
月や光は一切描かれていないのですが、
ぼんやりと照らし出されるように情景が浮かび上がっています。

ギュスターヴ・ドレ「城の夕暮れ」
挿絵画家として有名なドレの油彩画です。
風景画には珍しい縦長の画面に描かれています。

このほかミレー、テオドール・ルソー、ドービニー、クールベといった
バルビゾン派・写実主義の作品が展示されていました。
バルビゾン村のあるフォンテーヌブローの森は
コローの作品では比較的明るい印象を受けるのですが
他の画家の作品を見ていると鬱蒼と茂った森であることがわかりました。

ヨーロッパ諸国の絵画
ムリーリョ「悲しみの聖母」
「悲しみの聖母」についてはこちらをごらん下さい。クリック時音量にご注意ください
ムリーリョは甘美な「無原罪の御宿り」のマリア像や幼子イエス像で知られています。
通常「悲しみの聖母」においてマリアは中年女性の姿で描かれますが
彼は少女のように愛らしい姿の「悲しみの聖母」を描いています。

ロイスダール「小川と森の風景」
17世紀オランダの風景画家ロイスダールの作品は
19世紀フランスの画家達に大きな影響を与えました。
この作品は空と雲の表現が非常に巧みで、大気の湿り気まで感じ取れるようです。

ジョン=エヴァレット・ミレイ「クラリッサ」
18世紀英国の小説の主人公クラリッサを描いた作品です。
一見するとゲインズバラの肖像画のようで、
とても「オフィーリア」と同一の画家の描いた作品には見えませんでした。
しかし、クラリッサが身につけている真珠のつややかな質感などには
「オフィーリア」で見せた細密描写の力量を見て取ることができます。

エドワード=ジョン・ポインター「ミルマン夫人の肖像」
今回の展覧会のポスターやチラシに使用されている優雅な女性像です。
ポインターはレイトンやアルマ=タデマと並ぶ
ヴィクトリア時代のアカデミー画家で
神話を題材にした作品や古代風の作品を多く描いています。

そのほかターナー、コンスタブル(グルーズの模写)、イタリアの画家の作品が展示されていました。
 


| Back | Index | Next |