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金刀比羅宮 書院の美―応挙・若冲・岸岱から田窪まで
 
 
 

2008年1月4日に香川県琴平町の金刀比羅宮(こんぴらさん)に
金刀比羅宮 書院の美―応挙・若冲・岸岱から田窪までを見に行きました。

こちらの展覧会は金刀比羅宮文化ゾーン整備計画完了を記念して開催されたもので、
通常は非公開の奥書院や現在壁画制作中の白書院の公開も行われています。

金刀比羅宮の書院は表書院・奥書院・白書院の三つに分かれています。

表書院
表書院は金毘羅大権現の別当が来客を応接する場として用いた客殿です。
金刀比羅宮は明治時代になって神仏分離が行われるまで、
神仏習合の「金毘羅大権現」となっていました。
表書院は常時公開されていますが、
通常はガラス越しの拝観となっているところを、
今回は室内に入って鑑賞できるようになっています。

最初の部屋は応挙による「鶴の間」です。
この部屋には入ることが出来ず、また小さな部屋だったのですが、
気品ある鶴の姿が印象的でした。

次が「虎の間」です。この部屋は室内に入り間近に鑑賞できます。
佇む虎、水を飲む虎、後ろ向きの虎、眠る豹など
実に伸びやかな筆致で描かれています。
応挙の描く虎は猫をモデルにしたといわれていることもあり、
獰猛と言うよりも愛嬌のほうが前面に出ているようです。
大きな白虎は体つきはがっちりとしているのですが、
目元口元や四本の足(つい手足と言ってしまいそうになります)に
どことなく愛らしさを感じます。

応挙「七賢の間」は古代中国の「竹林の七賢」を描いた部屋です。
ゆったりとした筆致で描かれた琴棋書画を楽しむ七賢の姿は
まさにこの世の別天地のように感じます。

応挙「山水の間」は上段の間と二の間からなり、表書院のなかでも格式の高い部屋です。
金粉をふんだんに用いた贅沢なつくりですが、
決して華美に陥らず品格のある部屋に仕上がっています。

邨田丹陵「富士一の間」「富士二の間」
この部屋は明治35年に邨田丹陵によって改修され、新たな障壁画が描かれました。
一の間の床の間から襖にかけていっぱいに描かれた富士山の雄大な姿が強く印象に残ります。
二の間は富士の裾野で巻狩りを行う武士の姿が描かれています。
余白を生かした躍動的な表現が印象的です。

富士二の間には狩野永徳筆と伝えられる富士山杉樹図屏風が展示されていました。
金刀比羅宮に伝わる障壁画の中でも最も古いものの一つで、
元は障壁画であったものを屏風に仕立て直したものです。
保存状態は完璧とはいえませんが、生命力あふれる木々の様子は伝わってきます。

奥書院
奥書院は金毘羅大権現の別当の邸宅として建てられたものです。
1764年に伊藤若冲が4室に障壁画を描きましたが、
現在は上段の間『花丸図』を除き、岸岱による障壁画が描かれています。

表書院から奥書院への渡り廊下に若冲『花丸図』の襖が展示されていました。
牡丹・蓮・木蓮・菊・菖蒲・百合のほか、
北国の花ハマナスや南国の花ハイビスカスまで描かれています。
写実的に描かれた花々はどれも美しく、
しばし襖の前で足を止めてじっくりと眺めました。

「春の間」「上段の間 花丸図」
現在唯一若冲の障壁画が残っているのが、上段の間です。
私が見たときは正月だったため、
上段の間には鏡餅が供えられていました。
襖絵で見ただけでも美しかった花丸図は、
壁面前面を彩ることにより、絢爛豪華な美を帯びてきます。
部屋そのものは決して大きなものではないのですが、
独特の空気を孕む空間にしばし見入ってしまいました。

岸岱「菖蒲の間」
襖に描かれた優美な菖蒲も実に良いのですが、
何よりこの部屋で素晴らしいのは壁面を飾る「群蝶図」です。
モンシロチョウ、アゲハ、クロアゲハなどが金色の壁面を群れ飛ぶ姿は
昆虫図鑑のように写実的に描かれた蝶であるにもかかわらず、とても幻想的で、
壁面を越えて織り成すハーモニーは
現地でないと味わえないものだと感慨深く思いました。
私が今回一番長く滞在した場所がこの「菖蒲の間」です。

岸岱「柳の間」若冲「飛燕図断片」
水辺に生える柳の木と群れ飛ぶ白鷺が躍動的に描かれています。
ここには若冲によるものと考えられる燕の断片5点が展示されていました。
軽やかに飛翔する燕のいた空間を想像するのも
一つの楽しみだと感じます。

白書院(椿書院)
白書院は神職や巫女が舞の稽古などをするときに用いる場所です。
現在金刀比羅宮文化顧問である田窪恭治が
琴平山に自生するヤブツバキを題材にした障壁画を描いています。
田窪はフランス・ノルマンディの「林檎の礼拝堂」を手がけたことで知られており、
「林檎の礼拝堂」のパネルの展示もありました。
まだ未完成の障壁画ですが、
野に咲く椿の可憐でありながらたくましい美しさが存分に表現されています。
床の間は有田焼の磁器タイルによる陶板画で、
シンプルでありながら生命力ある椿が描かれています。

高橋由一館
日本近代洋画の先駆者、高橋由一は金刀比羅宮と縁が深く、
金刀比羅宮には27点の油彩画コレクションがあります。
それらを一堂に展示しているのが高橋由一館です。
写実的に描かれた『鯛(海魚図)』や穏やかな風景画『琴平山遠望』のほか
私が最も印象に残ったのが、手桶に桜の枝を生けた『桜花図』です。
実にさりげない状態を描いたものなのですが、
桜の花の美しさに心惹かれました。
また現在は田窪恭治の白書院壁画の習作の展示もされており、様々な椿を堪能しました。

宝物館
明治時代に立てられた洋風建築ですが、屋根や玄関の唐破風が和の趣を出しています。
この建物は現在登録有形文化財となっています。
神仏混交の時代に祀られていた十一面観音像(重要文化財)をはじめ
多くの書画・工芸品が展示されています。
現在は三十六歌仙図などが展示されていました。

 
 


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