いま甦る巨匠たち 400年の記憶 ヴェネツィア派からモネ、ゴーギャン、ルノワール、ピカソまで この展覧会では「都市と自然と人びと」をテーマに 15世紀ヴェネツィア派から20世紀絵画までを取り上げていました。 T.家庭の情景 ヴェネツィア派の逸名画家による聖母子像から、 17世紀オランダの画家による室内風俗画 18世紀ロココ、19世紀アカデミー派、印象派、ナビ派と 時代ごとに様々な家庭の情景や美しい女性像などが展示されていました。 印象に残った作品の一つにローランサン『アルテミス』があります。(著作権の関係で画像を表示しておりません) 鮮やかな色使いと力強いフォルムで描かれた「女神(自画像)」は 「叙情的で儚げ」だけではないローランサン作品の魅力を伝えてくれるようです。 U.人と自然の共生 「生活と自然」「理想としての自然」「旅としての自然」の三部構成になっていました。 ライスダールによる自然風景、クロード・ロランによる理想化された風景 ピカソによる農夫の妻、ゴーギャン描くタヒチの女 16世紀から20世紀にいたるヨーロッパ各地で活躍した画家たちが 様々に思い描いた「自然」の姿がそこに表されています。 V.都市の肖像 「都市をかこむ自然」と「都市のなかの自然」の二部構成で展示されていました。 カナレットやグァルディは運河に囲まれたヴェネツィアの風景を描き、 マティスやルソーは「リュクサンブール公園」という都市の中の自然空間を描き出しています。 「自然」の中で暮らす「人びと」の営みが造りだすものが 「都市」であるということを感じさせてくれます。 以下は思い出に残った作品です。 窓辺の婦人(変わりやすい天気) 散歩の後 共に19世紀ベルギーの画家ギュスターヴ・ド・ヨンゲの作品です。 「変わりやすい天気」とは単なる空模様だけではなく、 人の心のうちをも表しているようです。 そして『散歩の後』の若い女性は まどろんでいるのか、恋の思いに心を馳せているのか どちらともとれるようです。 ギュスターヴ・ド・ヨンゲという画家はこの展覧会で初めて知ったのですが、 さりげない日常の姿を美しく描き出す画家だと思います。 ルーヴル美術館の若い水彩画家 パスカル=アドルフ=ジャン・ダニャン=ブーヴレ ルーヴル美術館で模写する若い女性を描いた作品です。 彼女の後ろにある作品はヴァトー『シテール島の巡礼』です。 ロシアの生活情景 ジャン=バティスト・ル・プランス 18世紀のフランス人画家によって描かれた、ロシアの人びとの姿です。 画面中央、ゆりかごの赤ん坊のそばに白猫がいます。 池のある風景 ブーシェ ブーシェといえば華やかな神話画や美しい貴婦人を描いた肖像画で知られていますが、 この作品は彼が優れた風景画家でもあることを伝えてくれます。 空と池と森という青緑の空間の中 人物の赤い上着がアクセントになって画面を引き締めています。 野原の少女 ルートヴィヒ・クナウス 野原で戯れる少女の姿がとても愛らしい作品です。 空の青と少女の帽子の赤が、緑の情景に美しく映えています。 花瓶の花 ファンタン=ラトゥール ファンタン=ラトゥールといえば「薔薇」の画家として知られていますが、 この作品に描かれているのは雛菊やパンジーといった小さな花々です。 彼は華麗な薔薇だけではなく、 こういった可憐な花も魅力的に描き出す画家なのだということを再認識しました。 鳥の巣を持つ少女 シャルル・シャプラン 18世紀フランスの画家による作品です。 以前にもシャプランの作品を見たことがあるのですが、 その作品も愛らしい娘の姿を描いたものでした。 ケニルワース城の廃墟 ギヨーム・ヴァン・デル・ヘキト 遠景に浮かび上がる城の廃墟が幻想的な作品です。 ヴェネツィアのサン・ジョルジョ・マジョーレ島の眺め グァルディ 1993年に開催されたエルミタージュ美術館展にも出展されていた作品です。 まさに「サン・ジョルジョ・マジョーレ島」の肖像画といった趣です。 私は1993年にイタリアを旅行した際、サン・ジョルジョ・マジョーレ島へ渡り、 この作品にも描かれている塔に登りました。 対岸のヴェネツィア市街地が一望できる素晴らしい場所です。  
 
|