舞姫の褒美



わたしは今でもお前を愛しているのだよ、ヨカナーン。わたしはお前だけしか愛していない。

ワイルド『サロメ』より

七つの面紗の舞踏を舞い終わったサロメは
ヘロデ王に褒美としてヨカナーンの首を賜るよう求めます。
王はエメラルドや白孔雀など様々な財宝を与えようと持ちかけ、
ヨカナーンの首を求めることをやめさせようとしますが、
サロメの望みが覆ることはありませんでした。
銀の大皿に乗せられたヨカナーンの首がサロメのもとに運ばれてきます。

ビアズリーはこの構図をグイド・レーニの『サロメ』に基づいて描きました。
しかし多くの人物が描かれたレーニの作品に対し、
ビアズリーはサロメとヨカナーンの首、
そして大皿を捧げ持つ処刑人の腕だけという簡潔な表現にしています。

邪悪な喜びに満ちた表情のサロメは
恋焦がれたヨカナーンをようやく意のままにしようとしています。



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