大山崎山荘美術館
 
 
 

2006年10月12、13の両日にかけて京都・神戸を旅しました。

最初に立ち寄ったのが、京都府乙訓郡大山崎町にある
アサヒビール 大山崎山荘美術館です。
新大阪からJR京都線に乗り換え、山崎駅で下車、
天王山に続く急な坂道を登ること約10分で到着します。

大山崎山荘は関西の実業家、加賀正太郎の別荘として
大正初期から昭和初期にかけて建てられました。
ハーフティンバー工法を用いて建てられた英国様式の山荘は
現在国の有形文化財に登録されています。

私が訪れたときにはは開館10周年の企画展として
「民藝の原点『三國荘』展」が開催されており、
美術館のコレクションから「三國荘」に縁の陶器・家具など工芸品が展示されていました。
「三國荘」はアサヒビールの初代社長山本為三郎の邸宅で、
建物だけではなく家具調度品に至るまで民藝運動の同人が手がけました。
特に見ごたえがあったの1階のサンルームにおいて再現されている、三國荘の応接間です。
一見素朴でありながら、重厚で手の込んだ調度品の数々には
当時の民藝運動の美意識の高さを感じ取ることができました。

山荘の2階には展望テラスがあり、
桂川・木津川・宇治川の合流する大山崎の町が一望できます。
反対側のバルコニーからは庭園と天王山を望むことができ、
こちらも美しい風景です。
階段の踊り場にはステンドグラスがはめられ、
2階のホールにはドイツ製のオルゴールが置かれており、
1時間ごとに演奏を聴くことができます。
私はちょうど12時から演奏を聴きましたが、
古き良き時代の音色とはこのようなものなのかと感じました。
2階にはバスルームもあり、思わずボナールの絵画世界を思い出してしまいました。

大山崎山荘が美術館として開館するに当たって
安藤忠雄設計による新館が建設されました。
本館や庭園との調和に配慮し、地下室として設計されています。
そのため「地中の宝石箱」と呼ばれます。
ここにはモネ『睡蓮』連作をはじめ
アサヒビール所蔵の絵画作品が展示されています。
当時新館では「影山公章ジュエリー展」が開催され、
紅葉や銀杏、枯葉を象ったブローチなどが展示されていました。
まるで本物の葉っぱを思わせる作品には
きらびやかさは無いのですが、奥底からにじみ出るような美しさを感じました。
「地中の宝石箱」には『睡蓮』が展示されていますが、
本館1階のバルコニーからは睡蓮の池を望むことができ、
花の咲く季節にはモネの世界そのものになるようです。

私はこういった重厚なクラシック建築が好きなので、
展示物はもちろんですが、建物の雰囲気そのものを楽しんでおりました。
当時からあるソファなどにも実際に座って休憩できるのが嬉しいところです。
京都へ向かう途中で立ち寄って本当に良かったと思える美術館でした。
 


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