ウォーターハウス トリスタンとイゾルデ
1916 107.5×81.5cm
個人蔵
 
 

楽劇 トリスタンとイゾルデ
 
物語はアイルランド王女イゾルデが、
コーンウォールの王マルケのもとへ嫁ぐ船上ではじまります。
マルケの甥トリスタンはかつてイゾルデの許婚を殺してしまいました。
それを知らずに出会った二人は恋に落ちますが、
イゾルデはやがてトリスタンが許婚の敵であることを知ることとなります。
一度はトリスタンを殺そうとするイゾルデですが、彼を殺すことはできませんでした。
 
トリスタンはマルケ王の使者として、王の花嫁となるイゾルデを迎えに来ます。
イゾルデの母は侍女に婚礼の際王とイゾルデに飲ませるように愛の薬を持たせます。
結ばれない恋を嘆いたイゾルデは、トリスタンを殺して自分も死のうと毒薬をあおります。
しかし、侍女が毒薬と愛の薬をすり替えてあったため
二人は死ぬことはなく、ますます激しい恋に陥ることとなります。
 
イゾルデはマルケ王の妃となりますが、それでも二人は愛し合っていました。
そのことを知った王は怒り、トリスタンを殺そうとします。
深手を負ったトリスタンはかけつけたイゾルデの腕の中で息を引き取ります。
マルケ王は愛の薬の一件を知り、二人を許そうとしますが、
時すでにおそく、二人は死をもって結ばれます。

 
 
 
 
「トリスタンとイゾルデ」はアイルランドに伝わる物語で、
この物語はアーサー王伝説の中に組み込まれており、
トリスタンは円卓の騎士の一人として登場します。

 
 
この古くから伝わるケルトの物語をもとに
1859年にワーグナーは自分で台本を書き、3幕もののオペラを作曲しました。
1865年にミュンヘンの宮廷劇場で初演されました。
、
「トリスタンとイゾルデ」はそれまでの彼の作品よりも、より「ワーグナー的」
すなわち
・ライトモチーフ(示導動機)のより徹底した使い方
・休みなく発展し絡み合う無限旋律
・半音階的手法
が用いられています。
それらの要素によって、「トリスタンとイゾルデ」は、
ワーグナーの全作品の中でももっとも官能的な美しさにあふれた作品と評価されています。

 
 
「トリスタンとイゾルデ」の音楽が訴えかけるものは
宿命的な愛の深さと死を持って成就する愛です。
「前奏曲」、トリスタンとイゾルデの「愛の二重唱」、イゾルデの「愛の死」といった
官能的な楽曲にのせて「愛と死(エロスとタナトス)」のテーマが語られます。

 
 
献身的な愛をテーマにした「さまよえるオランダ人」や
命と引き換えにした犠牲的な愛をテーマにした「タンホイザー」など
「愛と死」をテーマにしたワーグナーの音楽は
世紀末象徴主義の芸術家たちに好んで取り上げられました。
 
次ページでは「イゾルデの愛の死」の音楽と共に
「トリスタンとイゾルデ」の物語を描いた絵画作品をご覧ください。

 
 
 
 
 
 
こちらの音楽は“龍 midi net”様の作成したMIDIをお借りしています。
next page