麗しのロザムンド―陰に咲く薔薇
 
 
 



『麗しのロザムンド』はウォーターハウス最晩年の作品の一つです。

作品解説はこちらです。

背後に迫る王妃の存在に気づくことなく、
窓の外を眺め王の訪れを待つロザムンドが描かれています。
窓辺に絡みつく薔薇の花は王妃を怒らせた危険な愛を象徴します。

王妃は画中ではあまり美しく描かれていませんが、
実際のヘンリー2世の王妃アリエノール・ダキテーヌは美しく生命力に満ちた女性で、
ヘンリー2世よりも10歳年上であったにもかかわらず彼を魅了し多くの子女をもうけました。
彼女の子孫は多くのヨーロッパ王家の祖となっています。

ウォーターハウスは『シャロットの女』『マリアナ』など「閉じ込められた女」を数多く描いています。
愛を知らなかったシャロットの女や、愛に絶望するマリアナと異なり
王の愛を一心に集めるロザムンドは一見幸福な女のように見えますが、
外界から隔てられたところにその身を置かれていいました。
「世界の薔薇」と讃えられながらも日陰の身であったロザムンド
「待つ」だけの受身の愛しか許されなかった彼女も
やはり「閉じ込められた女」であったように思います。