第8回 華宵の部屋 「大正花物語展」
 
 
 

宇和島市立歴史資料館では同市出身の高畠華宵の作品を
2006年からテーマ別に「華宵の部屋」と題して展示しており、
この時はは花をテーマにした作品を中心にした展示でした。

桜、鈴蘭、雛罌粟、紫陽花、百合など季節ごとの花々と共に描かれた
和装の娘や断髪のモダンガールの美しさにしばし見入っていました。
(雛罌粟を背景に黒猫を抱いた女性の描かれた『仔猫』が気に入りました)
華宵の作品のほか、大正時代のリボンや伊達襟、ショールなどの服飾品、
昭和初期から昭和30年代初頭の少女小説や少女雑誌を用いて
女学生の机を再現した展示など、
展示作品数はそれほど多くはないのですが、
明治時代に建てられた擬洋風建築と華宵の作品がぴったりとあっていて
時を忘れてレトロな世界に浸ることが出来ました。

華宵は花の中でも薔薇を一際愛したそうで、
薔薇と乙女を描いた作品を取り上げて展示してありました。
「華宵と薔薇」という展示解説によると、
愛の女神の象徴であると同時に聖母マリアの純潔の象徴でもあるという
相反するイメージを持つ薔薇の花に
モダンガールが登場し、女学生たちの少女文化が花開く一方、
貧困のため満足な教育も受けられなかったり、封建的な社会に抑圧されていた
大正時代の女性の姿を重ね合わせていたのではないかとありました。

「薔薇のように」美しい女性たちと、薔薇の象徴するものに
深い感銘を受けた展示でした。

 
 


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