「死の神」のやうに強かつた「愛の神」も死にました
散りしぼむ花のあひだの
墓場にそつと寝かせませう、
頭のあたりには青い芝草
足のあたりには石を据ゑて
二人で一緒に坐りませう
夕まぐれ しづかな頃に。
「愛」の芽生えは春でしたが
収穫(とりいれ)も待たずに枯れました
晩夏(おそなつ)の暖かい日に二人の手元を去りました、
ほのぐらい秋の日の
つめたい頃を待ちもせずに。
ここの墓場に二人で坐つて
「愛は果てぬ」と歌ひませう。
単音の かなしい低い絃に合はせて
さうした歌をうたひませう、
年月の経つのにつれて 思ひ出はうすれても
芝草をじつと見つめて
過ぎた日の遠い昔の あれこれを
二人で憶ひ出しませう。
クリスティナ・ロセッティ「終り」
入江直祐 訳
バーン=ジョーンズ 廃墟の恋
1894 95.3×160cm
ナショナル・トラスト

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