花嫁の付き添い
 
 
 


ジョン・エヴァレット・ミレイ 花嫁の付き添い 1851


画面の半分を占める流れる滝のような豊かな髪が強く印象に残る作品です。

彼女が行っているのは英国に古くから伝わるまじないで、
ウェディングケーキのかけらを9回指輪に通すと、
その夜の夢に未来の夫の姿が現れるというものです。
胸に着けているのはオレンジの花で、結婚式の印です。
恍惚とした眼差しと接吻を暗示するような軽く開いた唇は
彼女が幸せな結婚を夢見ている姿を現しています。

19世紀において成人女性は人前では髪は結い上げていて
女性が髪をおろすのは夜寝るときだけでした。
そのため髪をたらした女性の姿を目にすることが出来るのは
彼女と親密な関係にある男性のみだったのです。
この作品のように量感豊かな解かれた髪は
強烈な性的魅力を感じさせるものでした。
ここに描かれた娘は実際の「花嫁の付き添い」というよりも
結婚―愛する男性と結ばれること―を夢見る
適齢期の女性を象徴する存在なのです。