夕べの声
 
 
 


モロー 夕べの声


モローの作品の中でも好きなものの一つです。
『夕べと苦しみ』『夕べ』など似通ったテーマの作品が何点かありますが、
とりわけ「夕べ」の訪れを視覚的に感じさせてくれる作品です。

宵の明星を背に、夕闇迫る空を浮遊する天使たちは
ゴシックや初期ルネサンスの天使を思わせるような
煌びやかな装いをしているにもかかわらず
重厚さというよりも大気のように軽やかな飛翔感を感じさせられます。
彼らの奏でる楽の音によって、やがてもの皆眠りにつくのでしょう。

モローの描き出す黄昏の美しさはまさしく比類ないものと思います。