薔薇色の衣裳のマルガリータ王女
 
 
 


ベラスケス 薔薇色の衣裳のマルガリータ王女
ウィーン 美術史美術館
1653-54 128.5×100cm

この作品はベラスケスによる5点のマルガリータ王女像のうち
最も早く描かれたもので、
マルガリータは当時3歳でした。
これ以降の作品では長い髪を垂らした姿で描かれる彼女ですが、
この時はまだ髪も短く、そのことが彼女の幼さを強調するようです。
しかし右手をテーブルに置き左手に扇を持ち姿勢正しく立つ姿は
幼いながらも王族としての威厳を示しています。

テーブルに活けられた花のうちに一輪の薔薇がありますが、
マルガリータは薔薇の花が好きで、
薔薇を摘んだり、香りを嗅ぐのを楽しみにしていたそうです。

薔薇色のドレスを着た薔薇色の頬の愛らしい王女の姿からは
後のスペイン・ハプスブルク家の滅亡やマルガリータ自身の夭折など
彼女を襲う不幸は全く感じ取ることは出来ません。
彼女の人生で幸せだったひと時が画面の中にとどめ置かれているようです。