ミレイ あひるの子 国立西洋美術館 1889 121.7×76cm 『あひるの子』は国内で常時見ることの出来る数少ないミレイ作品です。 一連のいわゆる「ファンシー・ピクチャー」と呼ばれる作品の一つで、 特定の主題を描いたものではなく、 愛らしい少女の姿そのものを描き出した作品です。 モデルは誰であるか明らかではありません。 少女の足元にアヒルの親子が描かれていますが、 「あひるの子」というのは実際のアヒルの雛のことではなく、 少女自身を指しているように思えます。 そしてこの「あひるの子」という言葉から連想するのが 「醜いあひるの子」です。 この少女は愛らしい顔立ちで決して「醜く」はありませんが、 他のミレイ作品の少女が美しく整えられた髪をしているのに対し、 彼女の髪はあまり手入れが行き届いていないようです。 しかし少女の意志の強そうな瞳は、 やがて彼女が美しい白鳥に成長することを暗示しているかのように思えます。 |