ロセッティ マイ・レイディ・グリーンスリーヴス 1863 緑の袖の女はわが黄金の心 わがレイディ・グリーンスリーヴスこそ、その人だ 『グリーンスリーヴス』は英国の古いバラッドで、 この歌に登場するレイディ・グリーンスリーヴスは、 気まぐれな女心の代名詞として知られるようになり、 シェイクスピア『ウィンザーの陽気な女房たち』でも 奔放な恋歌として取り上げられています。 英国の古い楽曲に関心を持っていたロセッティは 二度にわたり『グリーンスリーヴス』を題材にした作品を制作していますが、 こちらは油彩で描かれたもので、より官能的な雰囲気の作品です。 彼女は私の兜に緑の袖を結んだ、 愛の甘美なる報酬のうるわしきしるしとして。 彼女は成功を祈るといいながら 私の首に彼女の温かいバンドを巻きつけた 彼女の口づけはわたしの唇の間に、今も離れないで、 心の情熱、まさかの時の力となっている ロセッティ
中世の貴婦人は愛のしるしとして自分の衣服の袖を贈りました。 当時袖は衣服を着るたびにその都度縫い付けられていたため 簡単に取り外すことが出来たのです。 ロセッティ描く女性の肉感的な露わとなった腕は 騎士の兜を包み込む「袖」が意味するところを暗示しています。 彼女は自らの美しい肉体を持って騎士を縛ることとなるのです。 『グリーンスリーヴス』は日本でもよく知られた英国民謡です。 曲のイメージからはもっと素朴で牧歌的なものを連想していましたが、 実は官能的な愛の歌であったということを今回初めて知りました。 |