百合の聖母
 
 
 


ブーグロー 百合の聖母 1899


幼子ながら冒しがたい威厳を持ったイエスは
神を畏れ敬う人々を祝福するかのごとく両腕を開いています。
そんな幼子を捧げ持つようにして抱くマリアは
「神の母」としての荘厳さと
「神のはした女」としての敬虔さを併せ持つような表情をしています。
百合の白さとマリアの濃紺の衣裳のコントラストが美しい作品です。

百合は楽園を追放されたイヴの後悔の涙から生じたと伝えられます。
そして白百合を手にした大天使ガブリエルが
処女マリアに受胎告知をしたことから
百合はマリアの純潔を象徴する花となりました。
ソロモンの雅歌に詠われる「花嫁(マリア)」は
「茨の中に咲く百合の花」にもたとえられています。
また聖書においては百合は薔薇と並んで美しい花の代名詞ともされます。