愛の挨拶
 
 
 


ロセッティ 愛の挨拶 1861頃


神が作りたもうた愛する人よ、
神がそなたを見守りますように。
愛する人よ、神がそなたを称え、崇めますように。
愛する人よ、神がそなたの望むものを与えますように。


上の文章は画面の上下に記されている語句です。
ロセッティは水彩画の『薔薇物語』と同じテーマを油彩でも制作しました。

愛の象徴である薔薇が描かれていることは水彩と同じですが、
こちらには情熱の象徴である向日葵も描かれています。
そして楽を奏でる愛(アモール)は愛の園の中からではなく、
恋人たちと同じ場所で愛の成就を見守っています。
画面全体が暗いためか、水彩画と比較するとどことなく神秘的な印象を受けます。

ロセッティの作品に登場する恋人たちは
どちらかと言えば悲劇的な末路を迎える者たちが多いのですが、
この『薔薇物語』に由来する恋人たちはまさに幸せの絶頂にいるかのようです。