魔性のヴィーナス
 
 
 


ロセッティ 魔性のヴィーナス


原題はVenus Verticordia(人の心を変えるヴィーナス)で、
誘惑の林檎とエロスの矢を手にした「ファム・ファタル」としてのヴィーナスです。

この作品のモデルはロセッティの愛人でもあったファニー・コーンフォースで、
リジー(エリザベス・シダル)とは対照的な華やかで官能的な女性でした。
ふくよかで肉感的な美女であった彼女をロセッティは「象さん」と呼んでいました。

肉感的な裸婦として描かれているヴィーナスですが、
性的な表現に対して厳しい制限のあったヴィクトリア朝において
このような作品は大胆極まりないものでした。

ロセッティはもう一点『魔性のヴィーナス』を油彩で描いています。
こちらも胸もあらわなヴィーナスで、
鮮やかな色彩が一層官能性を高めています。