天使に階級や役割があることをご存知の方は多いと思いますが、 天使の仕事の一つが、楽を奏で歌を歌い神を讃えることです。 まさに「天使」にふさわしい仕事だと思います。 私はルネサンス、特に初期ルネサンスが好きなのですが、 そういった時期の作品に登場する奏楽天使は実に美しく、 本当に天上の音楽が響いてくるようです。 イタリアの初期ルネサンスの天使は「清新」という言葉がぴったりときます。 15世紀イタリアの画家メロッツォ・ダ・フォルリの描いた奏楽天使などは、 天上の住人そのものといった感じの天使の姿です。 一方初期フランドルの画家の描く天使は、 色彩の華麗さもあいまって重厚な感じがします。 ファン・エイクの描いた翼のない天使たちは、 そこに存在していて、触れることができるようです。 どちらの天使も敬虔な祈りから生まれた美的存在だと思います。 盛期ルネサンス以降、天使の「世俗化」が進んだように思えます。 そして近代になってから、宗教を離れ自分の内なる世界を表現するために 天使の姿を描く画家が現れます。 |