私が初めて見たファンタン・ラトゥールの作品が 「『婚約』の静物」(グルノーブル美術館)です。 色使いや、描かれている花や果物がとても愛らしい作品です。 彼はこの作品を婚約の日に、相手のヴィクトワール・デュブールへ贈りました。 描かれている花には、花ことばによると ・ニオイアラセイトウ「逆境にも変わらぬ誠」「愛情の絆」 ・黄水仙「気高さ」「私の愛にこたえて」 ・ヒヤシンス「ひかえめな愛」 ・白薔薇「純潔」 という意味があります。 そして果物はイコノロジー的に解釈すると、 ・サクランボ・・・天国の果実、聖母の処女性 ・イチゴ・・・官能的な愛 を象徴しています。 ファンタン・ラトゥール自身は描いたモティーフに特別な意味付けをしたわけではないのかも知れませんが、 花ことばなどをみていくと、まさに「婚約」の贈り物にふさわしいモティーフを選んでいるように思えます。 |