可憐な処女マリアや優美な聖母子像で知られるムリーリョですが、
同時に彼は生涯にわたって少年・子供を描き続けました。
貧しくとも生命力に満ち溢れた風俗画の少年と
愛らしさと神々しさを兼ね備えた宗教画の少年の両方をご紹介します。




ムリーリョ
笑う少年

1670頃 52×39cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー
 
どこにでもいるようなごく普通の少年の姿ですが、
無垢な笑顔がとても愛らしい作品です。







ムリーリョ
少年と犬

1650年代 77.5×61.5cm
エルミタージュ美術館
 
少年の笑顔とそれを見上げる犬の親密な姿に心和む作品です。







ムリーリョ
サイコロ遊びをする少年たち

1675頃 145×108cm
ミュンヘン アルテ・ピナコテーク
 
下層階級の少年たちに日常風景を描いた作品です。
こちらを向いた少年の眼差しが印象的です。







ムリーリョ
葡萄とメロンを食べる二人の少年

1645頃 145×105cm
ミュンヘン アルテ・ピナコテーク
 
たくましく生きる少年たちと瑞々しい果物からは
あふれるような生命力を感じ取ることができます。







ムリーリョ
善き羊飼い

1660頃 123×101cm
プラド美術館
 
「善き羊飼い」として表された幼子キリストです。
愛らしさよりも端正な美しさが引き立つ作品です。







ムリーリョ
貝殻の子供たち

1675-80 104×124cm
プラド美術館
 
少年のキリストと洗礼者ヨハネが描かれています。
キリストがヨハネに貝殻で水を汲んで飲ませていますが、
これは「洗礼」を象徴するものです。







ムリーリョ
服を貧者に与える少年聖トマス・デ・ビリャヌエバ

1670頃 219×148cm
シンシナティー美術館
 
スペインの聖人トマス・デ・ビリャヌエバは生涯を貧民と病人の救済に捧げました。
これは彼が7歳のときに自分の着ている服を脱いで貧しい少年に与えたという伝説を描いたものです。
「慈愛」をテーマにしたこの作品はムリーリョの描く「聖」と「俗」をつなぐ作品といえます。