おとめ座は晩春を代表する星座で、 うみへび座に次いで全天で二番目に大きな星座です。 白く澄んだ光の1等星スピカは、 しし座デネボラ、うしかい座アルクトゥルスとともに 春の大三角形を形成しています。 おとめ座は豊穣の女神デメテルを象った星座で、 スピカは女神が左手に持つ麦の穂に位置し、その名も「麦の穂」を意味しています。 デメテルの娘ペルセフォネは、あるとき黄泉の王ハデスに攫われてしまいます。 彼女は嘆きのあまり姿を隠して地上に豊穣をもたらすことを放棄します。 そのため草木は枯れ、作物は実らず、家畜は死に絶えてしまいます。 事態を重く見たゼウスは黄泉の国にヘルメスを遣わし、 デメテルに娘を返すよう命じます。 ゼウスの命令のためハデスはこれに従いペルセフォネを返しますが、 その前に彼女に石榴を四つ食べさせました。 ペルセフォネが母の元に帰り、地上には再び豊穣が戻ります。 しかし、黄泉の国の石榴を四つ食べてしまったペルセフォネは 一年のうち四ヶ月を冥界のハデスのもとで過ごさねばならなくなりました。 その間デメテルは地上に豊穣をもたらすことをやめてしまったため、 地上には一年に四ヶ月間冬が訪れるようになったといいます。 またおとめ座は正義の女神アストレイアの姿を象ったものともいわれます。 その物語によると、 アストレイアは地上から正義が失われていくことを嘆き、 地上を去って天に昇って星座になったとされています。 |
レイトン
ペルセフォネの帰還
1891 203.2×152.4cm
リーズ市立美術館
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