あなたの逞しい腕が私を抱く
いとしい恋人よ
私は頭をあなたの腕に預ける
あなたは私に慰めの言葉をたくさんかけるけど
私の魂は休まらない
 
なぜなら私はひどく怖がりな生き物
さもなくば
壊れた翼で
あなたから遠く飛び去る小鳥
 
あなたのことをもう
昔と同じようには愛せない
愛は私を変身させ倒した
目をくらませる雪の中で
 
あなたには打ち砕かれた心と
苦痛にやつれた目しか差し出せない
もう微笑むことができず
微笑んではならない色あせた口
 
でもこのまま私を抱いていて
いとしい恋人よ
私が眠りにつくまで
眠りについたらそっと離れて、でもさよならを言わないで
私の人生の最後と涙を
呼び覚ますといけないから
 
「疲れ果てて」




シャロットの女
1853








人生と夜は手に入りました
死と昼が私の前に開かれます
私がどこへ行こうとも
不幸な人生は石ころだらけの道
主よ、私の行く先は遠いのですか?
欺く心がいつも私の周りにあります
魂のない視線は私を慰めはしません
主よ、あなたのもとへ行くべきですか?
生活と若さと夏の暑さだけでは
私の心は喜びで満たされません
主よ、私の人生から石ころだらけの道を
取り除いてください
死んで長いこと閉じたままの眼が
私を見つめます
死の聖女が私を待っています
主よ、今日中に行かなければなりませんか?
私の外面生活は悲しく動きがありません
まるで凍った小川の百合のように
私は視線を太陽に向けます
主よ、主よ、私の失ったものを
思い出してください
おお主よ、私を忘れないでください!
私の知らないそちら側はどんな所ですか?
死者たちは手に手を取って漂っていますか?
青ざめた手をしっかり握り、身を震わせていますか、限りない喜びに?
大気はいつまでも旋回する聖霊の響きに満ちていますか?
疲れた目を休める
永遠に静まり返った湖がありますか?
視線の硬直した大きな白い天使たちが
たわんだ百合の生えている土手に沿って飛び去りますか?
主よ、それがどんな世界か私たちは知りません
神なる主よ、私たちはあなたに
私たちの信仰をゆだねます
おお神よ、私を忘れないでください
 
「最後の詩」




腰掛けた自画像








愛は わたしの心を よろこびの歌の中に閉じ込めて
その調べにあわせて 胸は高鳴り、
つめたい 冬の風さえも
六月のそよ風のように 通り過ぎていく。



音楽に耳を傾ける恋人たち
1854
オックスフォード アシュモリアン美術館