グザヴィエ・メルリ
時の円舞曲(ロンド)
1890 47×73cm
個人蔵
 
 
 
土星は太陽系では木星に次ぐ大きさの惑星です。
直径は地球の9.4倍、質量は95倍ですが、平均密度は水よりも低く、
仮に土星を水に入れるとするとぷかぷかと浮いてしまうことになります。
自転周期は約10時間強で、この高速度の自転のため遠心力で扁平になっています。
公転周期は約29年半です。
土星も木星同様、水素などのガスによって組成されています。

土星の外見で最も有名なのは輪があることです。
この輪は1610年にガリレオによって最初に観測されましたが、
当時の望遠鏡の性能ではこれが輪であることはわかりませんでした。
その後1655年になって初めて輪であることが確認されます。
現在土星の輪は七本あることがわかっています。
この輪は酸化鉄や氷の粒子によって構成されており、
厚さは非常に薄く、土星本体の直径を10mとすると、輪の厚さはミクロン単位になります。
なお、現在では木星、天王星、海王星にも淡い輪があることがわかっています。

土星には現在56個の衛星が発見されています。
その中で最大の衛星タイタンは窒素を主成分とする厚い大気に覆われています。
そして地球によく似た地形や気象現象があるとされています。

土星は英語でサターンと呼ばれますが、
これはローマの農耕神サトゥルヌスにちなんだものです。
サトゥルヌスはギリシアではクロノスと呼ばれ、
オリンポスの神々の父とされています。
土星は太陽から遠く運行が遅いことやその鈍い光から
老人の姿の神にたとえられました。
ちなみに土星の衛星の名の多くは
オリンポス神族以前の神々である巨人族の名が付けられています。


画像はグザヴィエ・メルリ「時の輪舞」です。
この中央にいる翼を付け大鎌を持った老人は「時の翁」と呼ばれます。
彼の持つ大鎌は時間を刈り取るもので、現世の時間的むなしさを象徴します。
「時」はギリシア語で「クロノス」といい、
そのことから「時」と農耕神クロノスが混同されるようになりました。