ロセッティ
プロセルピナ
1874 126.3×61cm
テイト・ギャラリー
 
 
 
国際天文学連合によって2006年8月24日に定められた「惑星」の定義は

(1)太陽を周回する
(2)自らの重力で球状となる
(3)軌道周辺で、圧倒的に支配的な天体


とされました。
冥王星は月よりも小さな天体で、本体の54%もの大きさの衛星カロンを持っています。
このことから定義の(3)を満たさないため、「惑星」から外れることとなりました。
そして冥王星よりも大きな小惑星セレスや
2003年に発見された新天体も「惑星」とはされませんでした。

冥王星は1930年にアメリカ人トンボーによって発見されました。
海王星の軌道にずれが生じるため、9個目の惑星の存在が予想され、
膨大な天体写真を撮影したものを調査して発見されたものです。

この「第9惑星」は、太陽系最果ての惑星と考えられたため、
ギリシア・ローマ神話の冥界の王プルートにちなんで名づけられました。
日本では「冥王星」の訳語で知られることとなります。

しかしその後観測技術の進歩により新発見が相次ぎ
冥王星をそのまま「惑星」と定義づけられるのかどうか議論が起こります。
そしてようやく先日「惑星」の定義が定められたのです。

「惑星」といえば英国の作曲家ホルストによる管弦組曲が有名ですが、
この組曲には「冥王星」はありません。
「惑星」が作曲されたのは1914〜16年にかけてで、
冥王星が発見される15年前なのです。
しかし2000年に英国でホルストの専門家により「冥王星」が作曲され、
2006年8月23日に日本でも「冥王星」の収録されたCDが発売されました。

ギリシアの黄泉の神ハデス(プルート)は大神ゼウス、海神ポセイドンの兄弟です。
冥界の王ということであまり神話にも顔を出しませんが、
有名なのがペルセフォネ(プロセルピナ)を攫った話です。
なぜハデスがペルセフォネに恋をしたのかといえば
アフロディテが愛の力を誇示しようと
エロスに恋心を起こさせる黄金の矢をハデスに向けて射させたためです。

冥界へ行くためにはスティクス川という川(いわば三途の川)を渡らなくてはなりません。
この川の渡し守がカロンです。
カロンはエレボス(暗黒)とニュクス(夜)の息子です。
スティクス川を渡るための船賃も決まっていて
ギリシアでは死者の口に銅貨を一枚入れる習慣があったそうです。

画像はロセッティ「プロセルピナ」です。
ハデス(プルート)を題材にした作品でいいものが無かったので
黄泉の女王プロセルピナを描いた作品を選びました。