ウォルター・クレイン
ネプチューンの馬
1892 86×215cm
ノイエ・ピナコテーク
 
 
 
海王星は太陽系の惑星の中では最も外側を公転している惑星で、
公転周期は165年弱、自転周期は16時間です。
天王星同様メタンを中心としたガスで組成されており、淡い輪があります。
海王星は美しい青色をした惑星ですが、
その理由はメタンが赤色光を吸収してしまうためです。
天王星もメタンの影響で薄い青色をしていますが、
海王星のほうが色が濃いのは未知の化合物によるものと考えられています。

海王星はガリレオによって観測されていましたが、
当時は恒星であると考えられていました。
天王星発見後、予測された天王星の軌道に狂いが生じるため
天王星に影響を与えている未知の天体の存在が予測され、
その予測軌道上に海王星が発見されました。

「海王星」は海神「ネプチューン」の訳語で、
「未使用の神話上の大物」の名称をつけたものです。
命名当時は太陽系の最も外側を周る天体と考えられたため、
「深淵」のイメージを付与されたものです。
海王星には現在13個の衛星が確認されており、
トリトン、ネレイドなどギリシア神話に登場する海や水の精霊の名がつけられています。

海神ネプチューン(ネプトゥヌス)はギリシアではポセイドンと呼ばれます。
海と泉の支配者で、水の擬人像でもあります。
大神ユピテル、冥界の王プルートの兄弟で、妻は海の精(ネレイド:複数形がネレイス)のひとりです。 ネレイスは「海の老人」と呼ばれるネプチューン以前の海神ネレウスの50人の娘たちを指します。
海馬ヒッポカンポスが轢く凱旋車を持ち、普段は海底の宮殿で暮らしています。
彼の持物は三叉の戈で、海獣を従え、髭を蓄えた威厳のある老人の姿で表されます。
息子に上半身が人間で魚の尾を持つトリトンや、巨人ポリュフェモスがいます。


画像はウォルター・クレイン「ネプチューンの馬」です。
ネプチューンは馬の創造者で、競馬の守護神でもあります。
逆巻く白波が白馬に変容する巧みなアイディアが生きて、
躍動感があふれる作品となっています。