カエキリアはローマの貴族の娘で、 生涯純潔を守ることを神に誓っていました。 彼女は結婚するに当たり婚約者に対してその誓願を守ることを求めましたが、 婚約者はそれならば彼女の守護天使を見せて欲しいと言います。 すると二人の天使が現れ、 カエキリアに百合の冠を、婚約者に薔薇の冠を与えます。 婚約者もキリスト教徒となり、二人は結婚しますが、 この時代キリスト教は禁制であり、 捕らえられたカエキリアと夫は殉教します。 カエキリアは守護天使を伴う姿で描かれることも多く、 しばしば天使がカエキリアのオルガンに合わせて リュートを弾く姿や歌う姿で表現されます。 またカエキリアが演奏するのは鍵盤楽器とは限らず、 リュートやヴィオラ・ダ・ガンバといった弦楽器を演奏する姿で表されることもあります。 |
聖カエキリアと天使
Carlo Saraceni
国立古典美術館 ローマ
| 17世紀イタリアの画家による作品です。 カエキリアはリュートを弾き、 少年の姿の天使はヴィオラ・ダ・ガンバを手にしています。 聖女と天使による二重奏が聞こえてきそうです。 |
17世紀前半にフランスで活動した画家の作品と 考えられています。 オルガンを弾く聖女と リュートを手にする天使が交わす視線が 聖なる場面というよりも実際の奏楽を思わせます。 |
聖カエキリア
Jacques Blanchard(?)
17世紀前半 104.5×140cm
エルミタージュ美術館
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聖カエキリア
ドメニキーノ
1617-18 160×120cm
ルーヴル美術館
| ヴィオラ・ダ・ガンバを弾く聖女と 楽譜を捧げ持つ天使です。 楽譜よりも神からの霊感を頼りに演奏しているようです。 |
ヴィオロン(バイオリンの前身)のような小型の弦楽器を弾いています。 一切余計な道具立てがないことによって、 純粋に神の霊感を受け取る姿が表現されています。 ターバンをした姿が、同じくレーニによる 『ベアトリーチェ・チェンチ』を連想させます。 |
聖カエキリア
グイド・レーニ
1606 94×75cm
Norton Simon Museum of Art Pasadena
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