しし座は春の夜空を代表する星座で、
前足を高くあげた獅子の形をかたどっています。
獅子の心臓に当たる位置にある白い1等星レグルスを中心に形作られる
逆向きの?マーク(獅子の頭)が目印になっています。
毎年11月中旬の明け方しし座から発せられる流星群もよく知られています。

この獅子はネメアの森に住む人食いライオンです。
このライオンはただのライオンではなく、
神々にも恐れられた怪物テュフォンと魔女エキドナとの間に生まれた怪物で、
体も大きく、皮膚は鉄も通さないというものでした。

ヘラ女神の呪いにより狂気に陥り妻子を殺してしまったヘラクレスは
罪の償いのためティリュンスの王に仕え、12の難題を出されます。
その第一のものがネメアの森のライオン退治です。

ヘラクレスは最初ライオンに矢を射掛けますが、
鋼鉄の皮膚を持つライオンなので、ことごとく撥ね返されてしまいます。
そこで彼はライオンを素手で押さえつけ、
三日三晩首を絞め続け、とうとう退治する事に成功しました。

ヘラクレスはライオンの毛皮を身に着けた姿で描かれることが多いのですが、
この毛皮はネメアの森のライオンの毛皮です。
矢や刃物も通さない毛皮を彼は甲冑の代わりに身に着けていたのです。

ライオンはヘラ女神によって「ヘラクレスを相手によく戦った」と
空の星座にされたと伝えられます。



アントニオ・ポライウォーロ
ヘラクレスとヒドラ
1460頃 17×12cm
ウフィツィ美術館