ルノワールは「少女」という概念の視覚的イメージを確立した画家の一人といえます。
彼はブルジョワから労働者階級まであらゆる階層の少女を描きました。



ロメーヌ・ラコー嬢
1864 81×65cm
クリーヴランド美術館
 
ルノワールが最初に注文によって描いた肖像画です。
モデルは製陶業者の娘で、当時9歳でした。
可憐な愛らしさと気品を兼ね備えた姿に描かれています。







ルグラン嬢
1875 81.3×59.1cm
フィラデルフィア美術館
 
白いワンピースと黒いエプロンドレスというシンプルな装いが
少女の清楚な愛らしさを引き立てます。
髪と首につけた青いリボンが画面のアクセントとして効果をあげています。
モデルの名はマリー・デルフィーヌ・ルグランで、販売員の娘です。







ジャンヌ・デュラン=リュエル嬢
1876 113×74cm
バーンズ・コレクション メリオン(アメリカ)
 
印象派を擁護した画商デュラン=リュエルの次女で、当時6歳でした。
肩を出したデザインのドレスや結い上げた髪などからは
愛らしさと同時にどこかコケティッシュな魅力を感じます。








イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢
1880 65×54cm
ビュールレ・コレクション チューリヒ
 
ルノワールが描いた少女像の中で最も有名なものの一つです。
モデルはユダヤ人銀行家の長女で、当時8歳でしたがずいぶん大人びて見えます。
流れるような美しい髪は印象派の手法で描かれていますが、
顔の部分は古典的な手法で描かれ、肌の滑らかさが強調されています。