シェイクスピアの戯曲の中でも最もよく知られていると思われる「ロミオとジュリエット」のヒロインです。

ジュリエットはまもなく14歳を迎えます。

ロミオは「あの美しさはもったいなくて手も触れられぬ…まるで烏の群れに舞い降りた鳩だ」とジュリエットの清純な美しさを讃えます。

「ジュリエット」を制作した頃ウォーターハウスは清純・無垢な少女を題材にした作品を数多く手がけています。




アルフレッド・テニスンの詩「レディ・クレア」を題材にしています。

レディ・クレアは結婚の前日、生母から出生の秘密を告げられました。

彼女は婚約者ロナルド卿から贈られた純白の雌鹿を連れて、卿のもとへ告白に行きます。




「転身物語」巻4に取材した作品です。

ティスベは隣家の青年ピュラモスと愛し合っていましたが、父親同士の不和のため交際を禁じられてしまいます。

恋人たちは両家を隔てる塀の小さな割れ目から語り合います。

ピュラモスとティスベは密会を約束しますが、約束の場所に早く到着したティスベはライオンに驚きヴェールを落としたまま逃げ出してしまいます。

ライオンはそのヴェールを血まみれにしてしまいます。

ヴェールを発見したピュラモスはティスベが殺されてしまったと早合点し、自殺してしまいます。

ティスベは死んだピュラモスを発見し、彼女も自殺します。

「ピュラモスとティスベ」の物語はシェイクスピア「真夏の夜の夢」の劇中劇として登場します。




シェイクスピアの喜劇「テンペスト」1幕2場の情景です。

ミラノ公プロスペローの魔法が嵐を引き起こします。

娘ミランダは暴風雨にもまれる船を心配そうに見つめています。




ボッカッチョ「デカメロン」の語り手たちです。

「デカメロン」とは「十日物語」を意味し、

ペストを逃れてフィレンツェ郊外の別荘に篭った若い男女が退屈しのぎに順に語った話という構成になっています。

この「デカメロン」と「ミランダ」そして「シャロットの女」を題材にした「影の世界にはもううんざり」

ウォーターハウス生前最後のロイヤル・アカデミー出品作です。

この3点はいずれも熟慮された構成、細部に至る描写、輝かしい色彩といった彼の才能が十分に発揮された作品です。




ロザムンド・クリフォードは12世紀のイングランド王ヘンリー2世の愛妾です。

彼女の名は「世界の薔薇」を意味しています。

伝説によると王はロザモンドを王妃の嫉妬から守るためにウッドストックの迷路の奥の館に住まわせました。

ロザムンドは1176年に修道院で病死しましたが、彼女の死因については憶測が流れました。

迷路の道しるべの糸をたどって隠れ家を突き止めた王妃が、ロザムンドに毒か剣による死を命じたというものです。

彼女は毒を選んだと伝えられています。




「デカメロン」第10日第5話を題材にした作品と考えられています。

ある貴婦人の愛を得ようとした騎士が、彼女の出した無理難題に応えるために妖術師を探し出し、

妖術によって不可能を可能にするというものです。

貴婦人は騎士に元日に五月の庭を見たいと要求したのです。

この「魅惑の園」は未完成の作品でウォーターハウスの絶筆とされています。

「魅惑の園」「麗しのロザモンド」など4点の作品を次のロイヤル・アカデミー展出品のために制作していました。