慈悲
 
 
 


ブーグロー 慈悲 1878

西洋絵画において「慈悲」は何人もの幼子を抱く女性の姿で表されます。
ブーグローの作品における「慈悲」は一見無表情ですが、
幼子たちを抱きとめる胸には文字通り懐の深さを感じます。
腕の中で眠る幼子の安心しきった表情は
何よりも彼女の愛情深さを示しているようです。


ウォッツ 慈悲 1898

穏やかな表情とふくよかな体つきで描かれたウォッツの「慈悲」は
ブーグローの作品と比較すると人間的な印象です。
「慈悲」という崇高な理念を表現するための気品を持ちながらも
「肝っ玉母ちゃん」と呼びたくなるような度量豊かな母性を感じさせます。