ロセッティ ヴェロニカ・ヴェロネーゼ ウィルミントン デラウェア美術館 1872 107.9×86.3cm この作品の額縁には「『ジロラモ・リドルフィ書簡集』より」として、 ヴェロニカという女性が小鳥のさえずりにインスピレーションを受けて 楽曲を作るというエピソードが記されていますが、 この物語そのものはロセッティもしくはスウィンバーンの創作と考えられており、 実際には特定の主題を持たない唯美主義的作品と考えられています。 画面全体が深いオリーブ色で構成され、小鳥や花の黄色がアクセントとなり、 さらにモデルの赤い髪と唇が全体の緑と鮮やかな対比を成しています。 楽器は官能性を象徴するものの一つとされ、 奏楽する人物を描いた作品の多くは 「愛」や「恋」といった事柄を暗示するものといわれています。 ヴェロニカの髪と壁にかかったヴァイオリンが同じ色をしているのは 彼女の「髪」=「官能的魅力」を強調するためのものです。 ロセッティは奏楽する女性像を数多く描いていますが、 彼女らが手にする「楽器」は異性を魅惑する「武器」として威力を発揮するのです。 |