ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 新生児 ラ・トゥールらしい静寂に満ちた闇の中に ろうそくの明かりによって照らし出された親子三世代を描いた作品です。 西洋絵画で「母と子」の姿を描いた絵画といえば「聖母子像」ですが このラ・トゥールの作品も 「聖母子と聖アンナ」を描いたものであるとの説もあります。 左側の女性が持っているろうそくが手で隠されているため 赤子自身から光が放たれているようにも見えます。 しかしそのほかにはこの作品を「聖母子と聖アンナ」を描いたものであると 特定するための持物等はなく ごく普通の親子による夜の情景であると考えることもできます。 17世紀当時は病気や飢饉など 現代と比較すると子供が育つことが困難な時代でした。 そうした時代にあって、健やかに眠る赤子の姿に ささやかな喜びを見出す祖母と母の姿を描いたのでしょう。 そしてそういった何気ない日常の中にこそ 聖なるものが宿るということを教えてくれている作品のように思えます。 |