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世紀末と猫族
 
 
 


フェルナン・クノップフ 愛撫
1891 50.5×150cm ブリュッセル ベルギー王立美術館

世紀末の象徴主義絵画では様々な象徴モティーフが使われていますが、
動物の象徴的モティーフとしてあげられるのが猫です。

「夜」に意味を見出した世紀末においては、
昼は寝ているが、夜になると目を爛々と輝かせ
闇の危険性を秘めている猫が好まれました。

また世紀末は「室内の時代」と呼ばれた時代で、
暖かい部屋の中に閉じこもったイメージのある猫がぴったりの時代でもありました。

世紀末に猫を描いた画家として有名なのが、スタンランです。
スタンランの猫のポスターやグッズは見たことがある方が多いと思います。

モンマルトルにあったキャバレー「シャ・ノワール(黒猫)」のポスターにおける
細身の体、爛々と光る大きな目、長いひげと尻尾など様式化された姿は
単なる「猫」ではなく、世紀末の精神を象徴する存在のように思えます。
このほかにもスタンランは猫を描いた作品を数多く手がけています。
それらは比較的写実的に描かれ、愛らしい姿を見せています。

パリにはキャバレー「シャ・ノワール」に多くの芸術家が集いましたが、
バルセロナにもこの時代「エルス・カトル・ガッツ(四匹の猫)」というキャバレーが
芸術家たちの集う場としてつくられました。
やがてこの「エルス・カトル・ガッツ」からピカソが巣立っていくこととなります。

また象徴モティーフとして猫を解釈すると
スフィンクス風の謎めいたものの象徴、
猫族的な遊戯衝動の象徴とされています。

ギリシア悲劇「オイディプス王」には旅人に謎をかけ、
謎の解けなかった人間を食い殺してしまうスフィンクスが登場します。
このスフィンクスは頭は女で、体はライオンです。
つまり女であると同時に猫族でもあるのです。
世紀末には多くのスフィンクスが描かれました。

クノップフ「愛撫」では、身体が豹で頭が女のスフィンクスが青年を抱擁しようとしていますが、
青年はその抱擁には答えていません。
このスフィンクスは誘惑の象徴であり、
青年は誘惑に動じない崇高な芸術の象徴です。

世紀末には甘美な接吻がのど笛への噛み付きに変わるかもしれないという
「魔性」と神秘性を兼ね備えた「宿命の女」のイメージと猫が重ね合わされました。