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ガラテア
 
 
 


モロー ガラテア
1880 85×67cm オルセー美術館


2006年に開催されたオルセー美術館展で最も感動した作品です。
図版ではややくすんだ色合いに見えますが、
背景の青や、ガラテアの白い肌、
金髪や海の生物の繊細な線描など
実に繊細で美しい色使いの作品です。

『ガラテア』は『ヘレネ』(紛失)とともに1880年のサロンに出品された作品です。
これはモローの出品した最後のサロンとなりました。
『ガラテア』を最初に購入したエドモン・テニーは
この作品をモローの最高傑作とみなし、
自分の死後も決して売らないように言い残しました。
第二次大戦後、テニーの一族が絶えて初めて競売にかけられ、
鑑定家ロベール・ルメルのコレクションとなりました。
長らく個人コレクション作品として、
一般公開される機会の少なかった『ガラテア』ですが、
近年オルセー美術館に所蔵され、今回の展覧会にも出品されたものです。

ガラテアは海の老人と呼ばれた海神ネレウスの50人の娘たち(ネレイス)の一人で、
その名は「乳白の女」を意味します。
ガラテアに恋をしたのが、醜悪な一つ目の巨人ポリュフェモスです。
ローマの詩人オイディウスはポリュフェモスに
「水晶よりも輝かしく、白鳥の綿毛よりもやわらかな」と
ガラテアの美しさを語らせますが、彼の恋は実ることはありませんでした。

モローはポリュフェモスを一つ目の容貌魁偉な姿ではなく、
三つ目の端正な容姿に描き、彼の絶望的な恋に焦点を当てました。
ガラテアを取り巻く様々な海の生物は
パリの自然史博物館・図書館の書籍及び
モローが所有していた雑誌を参考に描かれました。
繊細なレースのように表された水生植物の様子からは
モローの細密描写の高度な技量を感じ取ることができます。


モロー ガラテア
1896 37.8×23.5cm フォッグ美術館


最晩年に描かれたもう一つの『ガラテア』です。
1880年の作品のようにガラテアの美しさを前面に押し出したものではなく、
ポリュフェモスの空しい憧憬が主題となっています。
そのためか前作のような輝かしい色彩と線描は影を潜め、
暗く淀んだ光景が描き出されています。

モローは1890年に「魂の妹」と呼んだ恋人アレクサンドリーヌ・デュルーを亡くしています。
叶わぬ恋に苦悩するポリュフェモスの姿は
恋人を亡くしてしまったモロー自身に重なっているのかもしれません。