ルーベンス 豊饒 1630頃 この作品は国立西洋美術館所蔵の日本にある数少ないルーベンス作品の一つです。 ルーベンスの50代前半ごろの作品で、タピスリーの原画と考えられています。 63.7×45.8cmと彼の作品としては小品ですが、 かえって大作では判らない繊細な筆遣いがよく現れています。 中央の女性が「豊饒」の寓意像で、 彼女が手にしているのは「豊饒の角」(コルヌコピア)です。 豊饒の角からこぼれ落ちる果実が自然の恵みを象徴しています。 大神ゼウスはニンフのアマルテイアに育てられますが、 彼女は山羊としても表され、ゼウスに山羊の乳を与えて育てました。 ゼウスはアマルテイアに山羊の角を渡して 彼女が望むものが何でも手に入るように約束し、 角からは望むままに果物・花・酒などが出てくるようになりました。 これが「豊饒の角」です。 また生まれる前に母を失ったバッカスもこの「豊饒の角」によって育てられたとされています。 「豊饒の角」は富や土地を豊かにする川の象徴として絵画に描かれます。 ボッティチェリ 豊饒の寓意 ヴィーナスやパラスを思わせる優美な女神像です。 彼女はローマ神話の果樹の女神ポモナとされています。 彼女が右手に持つものが「豊饒の角」です。 |