T.C.ゴッチ 旗


1998年に開催された「英国ロマン派展」に出品された作品です。

少女が白い旗を掲げて前方へ歩んでいる様子が描かれています。
少女の頭上の黄金の円光は、彼女が聖なる存在であることを示しています。
しかしこの少女が何者であるかは、画面上からは窺うことができません。
この作品は子供の無垢な状態を讃えることを目的として描かれたものなのです。

一般に「白旗をあげる」というのは敗北を意味していますが、
この白旗を掲げる少女が「敗北」を意味するとは思えません。
むしろ穢れなき純真さの勝利を表しているようにも見えます。
少女の唇と頬以外にはあまり色彩の使われていない作品ですが、
それゆえに何者にも汚されてない「無垢」をより強く感じとれます。