ボッティチェリ
海の聖母
1477頃 40×28cm
フィレンツェ アカデミア美術館
 
 
 
地球は現在確認されている中では唯一生命体の存在している惑星です。

地球に生命体が存在できるのは、
表面に水があり、適当な厚さの大気に覆われているため、
極端に暑いところや寒いところが出来ない仕組みになっていることと、
太陽からの距離が遠すぎず近すぎず適度な距離にあるということからです。

もし地球が金星と同じ距離にあれば、太陽からの放射熱を大気や水でやわらげても
生命が存在できないくらいの高温の環境になると考えられます。
また火星と同じ距離であれば、生物が生存できないくらいの低温になってしまいます。
また24時間に一周という地球の自転周期も地球の温度差を極端なものにしていない要因です。
金星は公転周期よりも自転周期のほうが長く、一日が400日以上になります。
そのような環境では昼夜の寒暖の差が激しすぎ、生命体の生存はほぼ不可能です。

そして地球の大気の気圧も生命体生存に最適な状態となっています。
金星のような高い気圧や、火星のように低い気圧であれば生命体は生存できません。
また金星・火星の大気には酸素が含まれていません。
地球の大気に酸素が含まれるようになったのは、光合成を行う緑色植物が誕生してからです。
酸素は大気中にオゾン層を作り出し、
そのことによって太陽からの強い紫外線を吸収し、
生命体を壊さない程度の紫外線が地球上に届いています。

また水の存在は地球に生命を育んだ大きな要因です。
地球上で水の果たす役割は以下の四つです。
1.熱を蓄えることにより大気の温度の調節。
2.海流・大気の移動による地球上の熱の運搬。
3.色々な物質を溶かしこむことによる生命体や環境の維持。
4.水の流れにより地表面の形を変え、生命生存に適した地形を作り出す。

これまであげた事項の一つでも欠けてしまえば、生命体の生存は不可能になります。
様々な偶然が重なったことにより、地球は「生命の惑星」となったのです。


画像はボッティチェリ「海の聖母」です。
この作品は背景に海の風景が見えるためこの題名がつけられていますが、
“Stella Maris”「海の星」というのは聖母マリアの称号のひとつとして知られています。
生命を育む「海」のイメージでこの画像を選びました。