「結婚」を題材にしたキリスト教絵画でまず思い浮かぶのが 『聖カタリナの神秘の結婚』です。 アレクサンドリアの王女カタリナは美貌と博識をもって名高い女性でした。 彼女は砂漠の隠者によってキリストの花嫁に迎えられると告知されます。 しかしそのとき洗礼を受けていなかった彼女はキリストに拒まれます。 カタリナはその後洗礼を受けて心の平安を得ることなり、 キリストと神秘の結婚をします。 「神秘の結婚」は幼児のキリストがカタリナに結婚指輪を授ける姿で表されます。 カタリナは王女であるため、通例王冠を被り豪華な身なりをしています。 カタリナは時のローマ皇帝に見初められ求婚されますが、 キリストの花嫁たることを誓った彼女は異教徒である皇帝との結婚を拒みます。 皇帝は100人の博士をカタリナのもとへ遣わし議論させ 彼女の信仰を打ち破ろうとしますが、 逆に博士たちが論破されキリスト教に帰依することとなりました。 怒った皇帝はカタリナを刺のある車輪に縛りつけ車裂きにかけますが、 天使が現れ車輪を粉砕してしまいます。 最後には彼女は斬首され殉教します。 聖カタリナは教育・学問の守護聖人として篤く信仰されましたが、 現在では彼女は実在の人物ではなかったとする説が一般的となっています。 下の2点はともにヴェロネーゼの作品です。 幼子イエスとカタリナのしぐさや表情が細やかな愛情に満ちていて まさに「花嫁」と「花婿」という感じがします。 |