「美少年」という言葉の表す「少年の美」には、
容貌の美しさもさることながら性的な魅力も不可分とされています。
カラヴァッジョ描く悩ましげな表情の生身の肉体を持った少年たちは
まさに「美少年」そのものだと思えます。




カラヴァッジョ
ナルキッソス

1598-99 110×92cm
ローマ 国立古典絵画館
 
数多くの少年像を描いているカラヴァッジョによるナルキッソスです。
水に映る己の影を求めても得られないという懊悩が見事に表現されています。







カラヴァッジョ
バッカス

1596頃 95×85cm
ウフィツィ美術館
 
酒と陶酔の神バッカスはしばしば少年の姿で表されます。
このバッカスは「神」というよりも「人」そのものであるように見えます。







カラヴァッジョ
ダヴィデ

1606-07 90.5×116cm
ウィーン美術史美術館
 
カラヴァッジョは数点のダヴィデを描いていますが、これはその一つです。
英雄としての力強さと少年らしいしなやかさを併せ持ったダヴィデが魅力的です。







カラヴァッジョ
合奏

1595 92×118.5cm
メトロポリタン美術館
 
特定の人物や物語を描いたものではなく、風俗画としての少年群像です。
体温が伝わってきそうな少年たちの姿がとても魅力的に描き出されています。







カラヴァッジョ
リュートを弾く少年

1596頃 94×119cm
エルミタージュ美術館
 
憂い顔でリュートを奏でる少年の美しさだけではなく、
周りの花や果物などの静物も丹念に描かれています。







カラヴァッジョ
果物籠を持つ少年

1593頃 70×67cm
ローマ ボルゲーゼ美術館
 
少年の肌や果物の質感など、
まるで実際に触れられそうなほど克明に表現されています。







カラヴァッジョ
果物を剥く少年

1593頃 75.5×64.4cm
ローマ ロンギ・コレクション
 
カラヴァッジョの描いた多くの少年たちよりも、やや幼い印象の少年です。
日常の何気ないしぐさを魅力的に描き出しています。