ヤン・ファン・エイク 受胎告知の天使
(ゲント祭壇画 部分)
1432 168.4×71.7cm
ゲント 聖バーフォ聖堂
 
「受胎告知」の天使として知られる大天使ガブリエルは、神の意思を伝える告知・啓示の天使です。
「ガブリエル」という名前は「神のうちに我が力はあり・神の英雄」を意味しています。

旧約聖書においてアブラハムの妻サラに懐胎を告知したり、
新約聖書において洗礼者ヨハネの父ザカリアに妻エリザベツの懐胎を告知したのもガブリエルです。
また、ガブリエルは夢や幻の解説者でもあり、預言者ダニエルの幻視についても解説しています。

そして、イスラム教世界では「ジブリール」という名で呼ばれ、
ムハンマドに神の言葉を伝え、天界へ導いた天使となっています。
 





フラ・アンジェリコ 受胎告知(部分)
1430年代 230 x 321 cm(全体)
フィレンツェ サン・マルコ修道院
 
有名なフラ・アンジェリコの「受胎告知」の部分です。
この作品に見られるように、ガブリエルは女性的な姿で描かれる例が多く、
一説には女性であるとも言われています。

 





ヤン・ファン・アイク 受胎告知
1434-36頃 90.2 ×34.1cm
ワシントン ナショナル・ギャラリー
 
ゴシック式の聖堂の中での受胎告知です。
時代が下ると天使の翼は白い翼として描かれることが多くなりますが、
上のフラ・アンジェリコの作品にも見られるように、
この時代の作品ではカラフルな翼が描かれています。
このファン・エイクの描くガブリエルの翼は、まさに虹色であり、
彼の油彩技法の質の高さを示しています。
 



フラ・アンジェリコ 受胎告知
1440-41 190x164cm
フィレンツェ サン・マルコ修道院

画僧フラ・アンジェリコがサン・マルコ修道院に描いたもう一点の「受胎告知」です。
僧房の一室に描かれた作品だけに、きわめて質素な画面構成となっています。
 



バーン・ジョーンズ 聖告
1879 250.1x104.1cm
ポート・サンライト レディ・リーヴァー美術館


ブーグロー 受胎告知
1888


上の2点は19世紀の画家による「受胎告知」です。
ルネサンス期の作品と比較すると、天使がより超越的な存在として描かれているように感じます。